旅の終わりはフェリーがいい

 

 

ポツンと田んぼの中にたたずむ藁のマンモスは子連れである

 子供と言っても人間のサイズからすれば遥かに大きい

 

  人間がいない時代氷河期になる前にマンモスの親子は楽しく暮らしただろう

 

  次第に世界は寒く雪に覆われてゆく そして氷河期に絶滅する前になり

 餌もなく空腹に泣く子マンモスと逃避しながら母マンモスはどんな気持ち

 だったろうか

 

  凍りつく最後の瞬間に親と子マンモスが寄り添うように眠ってゆくシーンが

 冷たい切れるような風とともにいつまでも繰り返されていた。

 

  そんな幻想

 

 

旅の終わりはフェリーがいい

 幼い頃、正月に帰省して帰りはフェリーが多かった

 

  出航を待つまでの間にとる夕食は船着き場で食べた丸天うどん

 肌色のチープなプラスチックの容器にたっぷりのうどん

 

  暖まるし美味しかったそんな記憶がただ懐かしい